インドに行ったことがある人ならば、一度は誰かに聞かれたり自問したりし た問題だ。この問い掛けに即答できる人は、仕事や研究でインドへ行った人く らいだろう。観光地としての魅力に乏しいインドに、人は何を求めて旅立つの か。
インドには一体何があるのか。一般的なインドのイメージとして、
・カレーが主食で、もうカレーばっかり食べている ・男はターバンを、女はサリーを身にまとい変な踊りをくねくね踊る ・貧しい国で、物乞いが多い。けどコンピュータには強いらしい ・聖なるアフロ、サティア・サイババがいる国 ・世界遺産のタージ・マハールという大きな建物がある
などがあると思う。サイババに会いに行くのは目的として成立していると思う が、タージマハールはどうだろう。あれはインドで唯一の観光スポットと思う が、あれを見るためだけに、わざわざインドに行く人はあまりいないだろう。 他のに関しては問題外。
「私は何をしにインドに行ったのだろう？」
しかしこの問い掛けに答えを出せなくても、気にすることはない。なぜなら、 そういう人達のために非常に便利な言葉があるからだ。なぜインドに行ったの か。それは、
「インドに呼ばれたからだ」
僕が望んでインドに行ったわけではない。インドが「ちょっとおいでよ」と 言ったから旅立っただけなのだ。何が呼んだのかは人によって異なるだろう。 聖なる河ガンジスに呼ばれた人や、悲しく貧しい子供達に呼ばれた人。中には 赤痢菌やマラリア菌に呼ばれた人もいるだろう。
僕の場合はインドのすんごいきれいな女性が、
「あなたの考えている事は、大変狭い考え方ですよ。私がその狭くて硬い殻を 破ってあげるから、インドにいらっしゃい」
なんていう言葉を耳元で囁かれた気がする。きれいな女性に誘われちゃあ、 罠と分かっていても行くしかあるめ〜。僕はそれを「インドに呼ばれたからだ」 と解釈している。
しかしインドに行くには、安くない飛行機代を払わなくては行けない。いく らきれいな女性に呼ばれていても、気軽に行ける場所ではない。そんな煮え切 らない僕の背中を押したもの。それは“アガスティアの葉”だ。
アガスティアの葉とは、何千年も前にアガスティアという聖者が椰子の葉に 書き写した予言の書。そこには全世界の人々の現在、過去、未来と前世、来世 の行いが克明に書かれていると言う。
僕は占いなんかはまったく信じないオカルト否定派なのだが、アガスティア の葉はぜひ見てみたい。なんか胡散臭い感じがするけど、神秘の国インドでな らありえるかも。アガスティアの葉は、インドはマドラスの人里離れた場所に 保管されているらしい。
僕はリュックサックを背負い自身の未来と過去を、将来の嫁さんの名前を知 るために、成田発デリー着のエアインディアAI301に乗り込んだ。
※すごく注意！！ とは言いつつも旅行記の中でアガスティアの葉の話はまったく出てきません。
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