旅行日 2002/10/14 時間 10時08分 場所 京都タワー


 最終日の朝、僕とモリモリは宿で朝食をいただいてから、東京行
き新幹線のぞみ号が待つ京都駅へと向かった。新幹線の発車予定時
刻は14時43分。現在の時刻は10時過ぎなので、出発までの4時間は
お土産購入と京都タワーの観光タイムにあてた。

 会社人であるモリモリは、職場の人間に饅頭だか何だか良くわか
らん物体をお土産に購入しようと目論んでいた。店のオババにその
商品を味見させてもらうと、可もなく不可もなく心底どうでもいい
味。京都らしさなんて微塵も感じない。僕が「京都といえば生八橋
がうまいんだけどな〜」てなことを小声で呟くも、モリモリはまっ
たく無視。「職場の人間が21人だから24個入りのこれならちょうど
良いかな〜」なんてことをブツブツ…。「チョイスの基準が人数な
ら買うのはあっという間でしょう!」なんて思いきや、モリモリは
「あ〜でもない、こ〜でもない」と言いながら名店街を3周した。

会社へのお饅頭らしき物体を買い終えると、次は自分たちのお土産
を買う番。僕は京都とはあまり関係ないが、御香セットを購入。寝
る前や読書をする時に使うのだ。マネッ子で甘えん坊の35歳モリモ
リもつられて御香さんを購入。さらに彼はコカコーラ社の果汁飲料
「Qoo」のデザインをパクった「Daa」の手鏡も購入した。「Daa」
とはアントニオ猪木の名ゼリフである「1・2・3!ダー!」からき
ている。そして「Daa」にデザインされているキャラクタはアント
ニオ猪木。「Daa」とはQooの著作権と猪木の肖像権を無視した、
サザエボンに続くアングラキャラクターなのだ。僕は「そんなの買
うの止めておきなよ。いくら猪木のファンでも、そんな鏡を会社と
かで使うのは恥ずかしいよ。冗談で使うとしても寒いよ」と忠告し
たのだが、モリモリはまったく無視。彼は鏡で自分の顔を写しなが
らニヤニヤしていた。

 1時間ほど時間を潰したところで、僕たちは京都タワーに上った。
770円を受付嬢に支払い、もう本当にどうしようもなく態度が悪く
て、ぜんっぜん可愛くない不慣れで愛想なしのエレベータガールの
役立たずのやる気なしの案内で展望台へ。エレベーターのドアが開
くと、そこにはひどく寂れたナロースペースがあった。眺めこそ京
都駅周辺を見渡せて気持ちが良いものの、歩いて30秒で1周できて
しまう空間。そしてなぜか子供用のパチンコ台が設置され、店の人
がどこにもいないコンピュータによる手相占い、しょぼくれ観光地
に必ずある芸能人の肖像権を無視しまくったお土産屋などが、展望
台を占拠していた。このお土産屋には「Daa」の他に、「Qoo」のキ
ャラクラターの鼻が豚になっている「Boo」も売っていた。

 僕たちは早々に展望台を抜け出しエレベーターで階下へ。そろそ
ろ小腹が空いてきたので「京都タワーのビル内にあるレストランで
飯でも食うべぇ〜」とモリモリと話をしていたのだが、スムーズに
コトは運ばなかった。エレベーターを降りた所には展望台よりファ
ンタスティック(悪い意味で)なアトラクションがあったのだ。お
賽銭を投げると一寸法師が出てくる?なモノや、四季と共に移り変
わる京都の行事を紹介するミニチュア?、鬼?、かぐや姫?、セガ
のバーチャルコップというゲームなどなど。コンセプトが統一され
ていない様々な物体が、薄暗い通路に設置されていた。もしかした
ら、愛想なしやる気なしのエレベータガールも、見世物のひとつだ
ったのかも知れない。

 仄暗い廊下を渡りきると展望レストランへの階段を見つけた。入
り口前に設置されたメニューの模造品をチェックして、モリモリは
アイスコーヒー、僕はコーラと焼きそばをチョイス。店員にオー
ダーをお願いすると番号札を渡された。テーブルに腰をかけて店内
を見回すと客はまばら。雑で暇そうな感じの店員が時折テーブルの
近くを通り過ぎていく。にも係わらず、なかなか注文した物が運ば
れてこない。焼きそばなんてさ、作り置きしてなくても10分もあれ
ばできるじゃん!と、思うが待てど暮らせど届かぬ焼きそば。アイ
スコーヒーとコーラなんて論外。客が席に着いた1分後には持って
来い!という感じ。
 20分ほどするとようやく焼きそばができ上がった。でき上がった
と言っても店員がテーブルまで運んでくれるなんて事はしない。
「38番でお待ちのお客さま〜」
なんて呼ばれて、自分で取りに行かなくてはいけないのだ。なんだ
よそれ。気分は学食じゃん。レストランの名を語るなんて10年早い
よ。もっとも彼らは京都タワーが創業してから40年近くこのスタイ
ルでやってきていると思うので、10年後も同じことをやっているだ
ろう。

 僕とモリモリはチープの極み京都タワーを後にして、京都駅のカ
フェへと向かった。現在の京都駅は1997年に開業され、広大な空間
を擁した近代的な建造物になっている。古都京都に訪れた外国人は
あまりのモダンさに驚くことだろう。そして京都駅の中央口を出て
10分も歩けば、世界最大の木造建築である東本願寺を拝める。近代
的な京都駅を中心に歴史ある建物が点在しているのだ。
 しかし京都駅のすぐそばには愚の骨頂「京都タワー」がそびえ建
つ。京都タワーは明らかに浮いた存在だ。京都の景観とアンマッチ
している。京都タワーの建設にあたっては、景観を損ねるという理
由で猛反対を受けたという。それを押し切って建設された京都タ
ワー。しかしその建物には意思が込められていなかった。まさか、
かぐや姫や愛想の悪い店員を披露したくて建てたのではなかろう。

 14時を過ぎた頃、僕たちはカフェの席を立ち新幹線乗り場へ向か
った。京都に来た日、エスカレーターに乗る人は右側に並び、急ぐ
人は左側を利用していた。東京と逆である。しかし、いま東京駅行
きのホームへと上るエスカレーターは、東京スタイルになっている。
このエスカレーターはすでに東京なのだ。帰ろう東京へ。30代独身
男には明日からそれぞれの生活が待っている。モリモリはサラリー
マンへ。僕は就職活動へ。鈴虫寺での願いは叶うだろうか。

「3泊4日大人の旅」これにて終了。
ダムダムさん
本文とは関係ないけど、宿を出る前にひとりで天ヶ瀬
ダムに行った。往復4キロ程度。しかも山の上。疲れ
る疲れる。放水しているところが、見たかったが残念。
1・2・3ダーッがうまい!
完璧なパクリ。色的には青りんご味だろうか?こんな
のを京都駅のすぐ側で売っているというのが怖い。捕
まるぞ!猪木に。
ショボクレ展望台
天気の良い日は大阪の市街地も見えるんだとか。たし
かに京都中を見渡せる景色は良かった。良かったけど
よ〜。770円は高いんじゃない?500円くらいにしてく
れよ。ボロイんだから。
下膨れ
太目のかぐや姫。彼女もこんな所に飾られて憤慨して
いるのでしょう。左手のコブシが硬く握られています。
「いつか殺ったる!」と思っているのかもしれません。






モリモリと僕