〜２日目にして故障かよ〜

Ｐｉｐｉｎ！Ｐｉｐｉｎ！Ｐｉｐｉｎ！Ｐｉｐｉｎ！Ｐｉｐｉｎ！

　計算機付き目覚し時計が午前７時を知らせ、私と聡はモソモソと
ベットから這い出した。昨晩は旅の疲れのせいか、午後１１前には
ベットに潜り込んでいた。私はベットや枕が替わると眠れない。
なんてことは全然ないのでぐっすり眠れたがベットが固かったせい
か、体が少し痛かった。

志「おはようっす。（おはようございますの略）ちゃんと眠れまし
　たか？なーんかベットが固かったせいか、ちょっと体が痛くない
　ですか？」
聡「いいや熟睡できたよ。なんせ俺はオーストラリアに来てからず
　っと床で寝かされてたからね。ベットって良いね」

そうだった。ラウンド出発前、聡は私の部屋にずっと泊っていたが、
ベットは一つしかなく、床にマットをひいて寝ていたんだった。私
はそんな聡に悪びれた様子を見せず、満面の笑みを送った。

今日の目的地はＱＬＤ（クイーンズランド州）のSurfers Paradise。
ここはゴールドコーストと呼ばれるところで、日本人観光客も多く
リゾート一色の都市だ。しかしそこに行く前にちょっとだけ寄り道。
せっかくPort Macquaireに来たのだから観光してみる事にした。

ガイドブックで調べてみるとPort Macquaireにはオーストラリアで
有一の、コアラ専門病院があるとの事なのでそこに行ってみる事に。

　私たちは荷造りを済ませ、YHAの髭面おっさんに挨拶をし、車を
走らせる準備をした。私はコアラ専門病院と聞いて、コアラがたく
さん見れるものだとウキウキしていたのだが、聡は車の異変に気が
付いていた。

聡「志帆〜。ちょっと来てくれない？車の下がなんか濡れてるけど
　これなんだろう？」
志「濡れてる？なんだろう、昨晩雨でも降ったんですかね？もしく
　は夜露でも滴り落ちたのかな？」
聡「いや水じゃないみたいだぞ（夜露なわけねーだろこの馬鹿！）
　ちょっと車をバックさせてくれる？」

Ｂｕｒｒｒｎ！

聡「あーやっぱり！これエンジンオイルだよ。健二（匿名）のやつ
　ちゃんと直さなかったんだよ。あの野郎女の話しばかりして手抜
　きしやがったな。ちょっとボンネットを開けてみて、エンジンオ
　イルの残量調べてみるわ」

Ｂｏｎ！Ｇａｃｈａ！
Ｃｌｉｃｋ！Ｓｕｕ−ＦｕｋｉＦｕｋｉ−Ｓｕｕ

聡「おい！エンジンオイル全然入ってないぞ！しかもエンジンの周
　りオイルで真っ黒になってるぞ」
志「エンジンオイルは予備で買ってありますけど、じょうごがない
　な。新聞紙をじょうごの代わりにして注ぎましょう」
聡「そうだな。とりあえず足りない分は足すとして、どれくらいの
　スピードで漏れてるかが問題だな」
志「それは朝昼晩と定期的に調べてみましょう。それとゴールドコ
　ーストくらいの都市なら、日本語の分かる修理屋さんもいるはず
　だから、修理してもらいましょう」
聡、志「健二（匿名）の野郎！シドニーに戻ったらお尻つねってや
　　　る！」

　その後エンジンオイルをポンコツ君に注いで上げて、機嫌が良く
なったところで、コアラ病院へ。

　コアラ病院の建物は想像していた物より大変小さく、平屋の建物
に木でこさえた柵があるだけ。柵の中にはユーカリが何本か生えて
いたのがコアラの姿は一頭も見えず。しかも早い時間に行ったため、
中に入る事が出来ませんでした。

　私たちは玄関前に張ってあった、交通事故にあったコアラの写真
や、オーストラリアに住むコアラ分布図だけを見てがっくりと肩を
落としすごすごと車に引き返しました。

聡がエンジンオイルの漏れのチェックをしている時に、私は近くに
あった子供用の遊具にカメラを向けていました。日本では見たこと
がない物ですが、想像するに子供がぶら下がって遊ぶもののようで
す。