〜喜ぶ聡〜（聡−三部作）

　オーストラリア最北の街であり特別区都、別名トップエンドと呼
ばれるダーウィンに向って、ポンコツ君をんぼんぼばたたと走らせ
る。キャサリンから北上して道路の側に、高さ３ｍ以上の蟻塚が見
えてきたらダーウィンに入った証拠だ。

　ダーウィンという街を知らない人は多いかもしれないが、この街
の名前の由来は、かの有名な進化論を唱えたダーウィンが元になっ
ている。彼が１８００年代の中期に、動物の調査と暇つぶしを兼ね
てやって来たのがこの地だったらしい。

　ダーウィンに着いた私たちは、早速というか懲りずに窓ガラスを
売ってる店を探し始めた。もう普通の車屋には置いていないのでは
なかろうか。私たちはパーツショップや、セカンドハンドと呼ばれ
る中古車屋を重点的に探し始めた。

　そして何件か店を周り諦らめムードが漂い始めた頃…

志「う〜ん。なかなか見つかりませんね〜。ダーウィンには２週間
　以上いるから、取り寄せに少々時間がかかってもいいんですけど
　ね」
聡「う〜ん。なかなか上手くいかないもんだね〜。もうちょっとセ
　カンドハンドの店を探してみようか。Ｓｅｃｏｎｄ　Ｈａｎｄ、
　Ｓｅｃｏｎｄ　Ｈａｎｄ…」

　聡はその場に立ち止まりうつむいた。そして次の瞬間。

聡「あー〜ー〜ー〜ー！！分かったぞ！！！長年の謎が解けた！！
　ヨゥロレリィフ〜」

　普段は口ごもりがちに話しをする聡だが、かつぜつはっきりと周
囲の迷惑省みず絶叫とヨーデルを奏でた。隣に居た私は、突然の絶
叫にビクッとした。ビクッ！て。

志「一体何が分かったんですか？」
聡「いや〜日本でさ、中古のＣＤとかをセコハンって言ったりする
　んだけどさ、何の略か全然分からなかったんだ。これってばさ、
　Ｓｅｃｏｎｄ　Ｈａｎｄだからセコハンって言ってたんだね」
志「ふ〜ん。セコハンなんて言葉初めて聞きますけど…」
聡「いや〜。まったく持って良い勉強になった！」

　その後の聡は一人で悦に入り、窓ガラスを探す事なんてすっかり
忘れてニヤニヤしていた。そしてこれ以後、私たちは窓ガラスの探
索は止めてしまった。

−栄里が来豪するまで後０２日−

〜オーストラリアで映画を観よう！〜

　翌日私は予てから気になっていた、ブルース・ウィリス主演、松
田聖子ちょい役のアルマゲドンを観に行く事にした。聡はＹＨＡで
ごろごろしていたため、一人で観に行った。

　オーストラリアの映画入場料は日本と比べると大変安い！という
よりも日本の映画館が高すぎる。こちらはどんな新作でも￥１、０
００ちょいで観る事が出来る。しかも毎週火曜日は映画の日になっ
ていて￥５００弱で入場可能だ。映画好きにはたまらない。

この値段なら多少つまらない映画をみても、痛くもかゆくも無い。
そして安いからといって設備が悪いということも無く、日本と同等
のスクリーンサイズ、シート、音声を満喫できてしまう。ちなみに
アメリカでもＵＳ＄４．５で観れるそうなので、日本で映画を観る
のが本当にあほらしくなる。

　ただオーストラリアの映画館には一つだけ難点があり、映画を５
回観に行ったうちの１回くらいはアホがいる。映画が始まる前の予
告編とかで、大声で叫び一人で熱狂している奴が。まあそんな奴で
も映画が始まれば静かに観始める。

そんな奴のおかげだろうか、映画を観ながらの外国人特有のオーバ
ーアクションを見たり、近くでポップコーンをムシャムシャ食べら
れてもあまり気にはならなくなった。

　さて肝心の映画の方だが、私は英語がさっぱり分からないので、
松田聖子の英語以外は聞き取れなかった。しかしアルマゲドンのよ
うなＳＦＸ映画ならば、映像を追えばストーリーは見えてくる。私
はアルマゲドンの馬鹿さ加減を、がっちり感じ取る事が出来た。

　映画館を出て腕を伸ばし明日の事を考えた。明日は栄里がやって
くる。そして豪華なコンドミニアム暮しが始まる。おいしいものを
山ほど食べよう。しばし旅も休憩だ。

　でかい〜。これが蟻塚です。ダーウィンの周りにはこんなのが山
ほどあります。この中に何万匹もの蟻が…。
　ちなみに撮影直前。サンダル越しに刺を踏んでしまい、足の裏か
ら流血していました。その痛さを堪えるために、変な腰になってい
ます。