〜Ｂａｃｋ　Ｔｏ　Ｔｈｅ　１９９８〜

　ダーウィンでのコンドミニアム生活も半分が過ぎ、私と聡は栄里
のために夕食の準備をしていた。この日までの夕食の準備のほとん
どは、栄里が一人でこなしていたので、たまには男の手料理を振る
舞おうという事になったのだ。

　今日の夕食は茄子の味噌炒め。簡単に作れるのに、とてつもなく
美味いと評判（私と聡のみ）の一品だ。私はスーパーで買ってきた、
巨大茄子（日本比３倍〜４倍）に包丁を入れ、栄里は日本から持っ
てきた音楽を聴いていた。

♪スマイル×３、どんな笑顔見せても心の中が読まれそう。大人ぶ
　った下手な笑顔じゃ心隠せない。大嫌い×３、大好き！Ａｈ〜。
（サマーナイトタウン／モーニング娘。−１９９８）

志「栄里〜その聞きやすくて、ちょっと馬鹿っぽい唄は誰の曲です
　か？」
栄「そうか〜志帆は知らないんだね。これはモーニング娘。って言
　うんだよ」

　茄子は縦長に切ってから、しま目に切れ目を入れて味を染み込み
やすくする。

志「も！も〜にんぐ娘？なんか年内に消えそうな名前ですね」
栄「名前はちょっとあれだけど、つんくプロデュースで結構売れて
　るんだよ」

　聡は茄子と絡めるための、ソースを作っている。材料は味噌と日
本酒と適量の塩胡椒。味噌田楽のたれと同じ味がして、それだけで
も充分美味い。

志「つんくがプロデュースじゃますます駄目でしょう。俺が日本に
　帰る頃には絶対消えてますよ。がっはっはっ」

　オーストラリアで味噌が売ってるのか？と思う人もいるかもしれ
ないが、売っているのである。一般的なスーパーにはアジア食品コ
ーナーがあるし、そこに無くても大きな都市には中華街があるので、
そこに行けば間違いなく手に入る。

栄「それじゃあさ。ＸＪＡＰＡＮのｈｉｄｅが自殺したのとかも知
　らないの？」
志「あ、それは知ってますよ。ドアのノブに紐をくくりつけて、し
　りもちをついた状態で死んでたんですよね」

　茄子をたっぷりの油で炒めたら、今度は挽肉を炒めて味噌ソース
と混ぜ合わせる。この時に刻み葱やトウバンジャンを混ぜ合わせる
と旨味が増す。

栄「そうか。そういう有名なのはオーストラリアにいても知ってる
　んだね。それじゃあ微妙なところで北野井子がデビューしたの知
　ってる？」
志「え…誰ですかそれ。有名なんですか？」

　挽肉に火が通ったら茄子を混ぜ合わせて出来上がり。聡＆志帆の
特製茄子の味噌炒めの完成だ。ちなみに、これに豆腐を入れれば聡
＆志帆の特製茄子マーボ豆腐になる。

栄「北野武の娘だよ」
志「え〜！そうなんですか。けどあまり可愛くないんじゃないです
　か？」
栄「それがね。お父さんにあまり似てなくて可愛らしいんだよ」
志「ふぇー」
栄「その他にもね、ｔｈｅ　ｂｒｉｌｌｉａｎｔ　ｇｒｅｅｎとか
　ＭＩＳＩＡ、ＢＬＡＣＫ　ＢＩＳＣＵＩＴＳなんて言うのもデビ
　ューしたんだよ」

　ちょうど良いタイミングで、ご飯も炊けた。コンドミニアムに炊
飯ジャーが無かったのでお鍋で炊いたのだが、底が焦げてしまうの
を除けば、おいしく炊けた。

　キンキンに冷えたビールを冷蔵庫から出してテーブルに並べる。
味噌汁も完成して準備万端。

聡、栄、志「いただきま〜す」
栄「茄子がとてもおいしい！やっぱり日本食が一番美味いよ！」
　
　最高の食事に栄里も喜んでくれたが、ＢＧＭがＶ６の
ＭＡＳＳＩＶＥ　ＢＯＭＢ（栄里の好み）だったのが、食事にミス
マッチして残念だった。

　ＸＸＸＸ（フォーエックス）を片手に乾杯。栄里は茄子味噌炒
めに、聡は今日の健康に、私はモーニング娘。の将来に乾杯。