〜カカドゥツアー（偽）で大自然を満喫！〜後編

栄「す！すごいよ〜目の前でワニが飛んだよ。まさにジャンピング
　クロゴダイルだよ！」

　などと、はしゃいでいた栄里だが、船を後にするとバスの中でぐ
ったりしていた。午後の１時を過ぎたのに、未だにダーウィン近く
にいることに疑問を感じたのだろう。こんな時間からカカドゥ国立
公園に行って日帰りで帰ってこれるわけがない。

すっかりブルーな栄里の次の行き先は、とてつもなくつまらない場
所。地平線がどこまでも続くような場所に小高い丘があり、その上
にある展望台兼ダーウィンの歴史博物館？だった。

博物館の展示物は英語表記のみでよく分らない。展望台から見える
のは地平線まで続く雑草と石ころ。唯一の楽しみだった昼飯は、手
作りサンドウィッチ。

聡「これってデンジャラスカメツアーで見たよな…」
栄「というかあまり物？」
志「カメが食べきれなかったものをくれたのかな？」

　卑し系の３人は、疑問を抱きつつも残さず平らげる。膨らまない
腹をさすり、退屈がピークを迎えたころ、次の場所であるワイルド
ライフパークへ出発。これが終ればツアーは全て終了となる。

　私の行ったオーストラリアの動物園全てに言えるのだが、土地が
余っているせいかどこも広すぎ。動物の檻から檻まで１００ｍも歩
くところもある。ここワイルドライフパークも、無駄に広い動物園
だ。しかもこの日は、雲一つ出ていない最高の天気。気温はかるく
３０度以上ある。動物を見るのも一苦労だ。

暑さ対しては自信があったが、この日の暑さには身の危険を感じた。
湿度が低いので、汗はすぐ乾燥する。意識して水分補給しないと意
識が朦朧として倒れそうだ。肝心の動物も日陰でぐったり。オース
トラリア名物のコアラさんも、ダーウィンには生息していない。日
本でも見れる動物を堪能すると、帰りのバスの時間になった。

　それぞれの頭の中には、愚痴や不満が渦巻いていたのだろう。コ
ンドミニアムに向かうバスの中で、３人は口をきかなかった。

　ワイルドライフパークで超人気の鷹ショー。大空を舞う鷹を自由
に操るおやっさんは、ダーウィンでもごく限られた地域の子供たち
に大人気！ダーウィン大学卒業の学生がなりたい職業ナンバー１が、
鷹操り師という話はなかなか聞こえてきません。