〜オーストラリアで３番目くらいに運がなかった日〜Ｐａｒｔ１ 

あれは忘れもしない（と言いつつ手帳を見かえす）１９９８年０５
月１６日のことだった。車を購入して１ヶ月ほど経った日の事であ
る。そろそろマンションの周りを時速３０ｋｍで（シフトレバーは
１のまま）走るのにも飽きてきたので、そろそろ遠出をしてみよう
なんて考えてしまったのである。不覚にも…。

私はそのマンションに住む前は、マンリーというサーファーに有名
な場所に３ヶ月間ほどホームスティしていました。英会話学校もマ
ンリーにあったので言わば馴染みの場所です。

マンリーは何と言ってもビーチが奇麗で最高です。サーフィンやボ
ディーボードをする人たち。ビーチには日焼けを楽しむ人（トップ
レス美女あり）、ビーチバレーも出来ます。海岸通りにはローラー
ブレードをやったり、ジョギングをする人がいます。直ぐ近くには
ショッピングモールがあり、大道芸人がいたりカフェテラスなんか
もあって暇になる心配もありません。 

そんなマンリーにもう一度行ってみたい。そして愛しのAnnaにもう
一度会いたい。それがその日の不幸のすべての始まりでした。

シフトレバーを１に合せ地図を片手にいざ出発。途中では６０ｋｍ
近いスピードを出すために、初めてシフトレバーを２に（まだ間違
ってる…）合せて意気揚々。時間にして４０分くらいたった頃、懐
かしい海の色が見えてきました。
「やったぜ！無事に懐かしのマンリーに到着したぜ」

この日は土曜日という事もありビーチは人で賑わっていました。私
もビーチののんびり幸せ気分を味わうために、早速ビーチ側の駐車
場に車を停める事に。駐車場も結構込んでいたのですが、運良く一
台の車が帰るところでした。

「よっしゃ丁度車が出てきたぜ！ここに首尾良く停めて、マンリー
を満喫するぞ！」と車を駐車場に入れるためハンドルを左に回し始
めたその時。

「めきょきょ！」

不快な衝突音と共に鈍い衝撃が走った。やってしまいました。ハン
ドルの切り方が足りなかったのか、右前方に駐車していた傷一つな
い白い車の左後部に、我がポンコツ君の右前部が食込んでいました。

恐る恐るバックしてみると、白い車は軽い衝突に不釣り合いな傷痕
がベッコリとついていました。それを見た瞬間顔は蒼白しましたが
飛びっきりのアイデアが頭の中を駆け巡りました。

０．０秒−「やばいやっちまった！取りあえず車を降りてちゃんと
０．１秒−相手の車の傷の確認をしなくては。もしも車のオーナー
０．２秒−がとてつもなく恐くてでかいオージーだったらどうしよ
０．３秒−う・・・。俺はあんまり英語喋れないから、言い包めら
０．４秒−れてすごい金額要求されたらどうしよう。ちゃんと謝れ
０．５秒−ば大らかなオージーは許してくれるだろうか？もし駄目
０．６秒−なら折角の楽しいオーストラリア時間が終ってしまう。
０．７秒−一体どうすればいいんだ！
０．８秒−そうだ。目撃者はいるのだろうか？後方確認！よし誰も
０．９秒−見てないぞ。前方確認！よしいない！左右の確認！よし
１．０秒−誰もいない！俺の考えは固まったぜ！」

ほぼ即決の１．０秒で逃亡を決定。心の中でごめんなさいを連呼し
ながら、その場を猛スピードで離れるのであった。

しかしこれはこの日の不幸の一つ目に過ぎないのであった。