〜日本から奴がやってきた！〜

志「聡〜。ここですよ！ここ！お久しぶりです」

　女と話しながら…
聡「だから参っちゃうよな〜。えへへ〜」
女「そうなんですか〜。うふふ〜」
志「おーい、ここですよー。さとし〜。ここー！」
聡「おー志帆じゃないか！お出向かえご苦労！久しぶりだな。優香
　ちゃん（仮名）、あれがさっき話した志帆だよ。えへへ〜」

優「そうなんですか〜。うふふ〜」
志「久しぶりですね。わざわざ来てくれてありがとうございます。
　日本を夜に出たんですよね。疲れませんでしたか？」
聡「おー、めちゃめちゃ疲れたよ〜。飛行機の中でも眠れなくてさ
　今すごい眠いよ」
志「そうですか。今日は取りあえず我が家でゆっくり休んで下さい。
　あの〜、ところでこの女の子は誰ですか？」
聡「おーごめんごめん。この子は優香ちゃん（仮名）。来る時の飛
　行機で隣りにいたんだ。この子は名古屋から来て、アデレードま
　で行くんだよ」

優「そうなんですよ〜。うふふ〜」
聡「だからさー。彼女を国内線乗り場まで案内して上げたいんだけ
　ど良いかな？」
志「それは構いませんけど、歩いては行けない距離ですよ。バスを
　使わないと無理だけど。僕の車に一緒に乗せますか？」
聡「そうなんだ。じゃあ彼女を車に乗せて上げよう。それで良いか
　な？優香ちゃん（仮名）。えへへ〜」

優「そうなんですか〜。うふふ〜」
志「…。そうですかじゃあ僕の車に乗るという事でいいんですね」
聡「そうだね。えへへ〜」
優「そうなんですか〜。うふふ〜」
志「…」（怒）

　そして私は二人を自分の車が停めてある駐車場まで案内し、聡を
助手席、優香（仮名）を後部座席に乗せ、国内線発着場に向けて出
発した。

しかしこの女をただで発着場に向かわす訳には行かない。俺の前で
いちゃついた男女を見逃す訳にはいかないのだ！二人には復讐の刃
を剥かなくてはいけない。リベンジである。

聡へのリベンジの時間はこれからたくさんあるが、この女へのリベ
ンジはどうすればいいんだ！見てない所でこの女のトランクを蹴飛
ばしてやるか？アホアホしすぎる…。

アデレード行きのチケット取り上げて破いてしまおうか？
酷すぎる…。
足りない脳みそをフル回転させるが、なにも良いアイデアが浮かん
でこない。だが幸か不幸かリベンジのチャンスがやってきた。

志「準備はいいですか〜。じゃあ出発しますよ〜」

　私はいつものようにシフトレバーを１にセットしたまま、アクセ
ルを踏み始めた。

聡「おいおい。なんで１で発進したの？Ｄｒｉｖｅは使わないの？」
志「え？何の事ですか？」

　車は十分な加速と、運転手の満足のゆく前方確認を得られないま
ま、駐車場を飛び出した。そして駐車場を出て左折したと同時に、
十分加速してきたタクシーが私の車に猛烈な勢いで近づいてきた。

ＰａＰａｈｈｈ！！ＫｙＫｙｉｉｉｉｉｉ！！

優「キャー！ぶつかる！！！」
聡「おい！やばいぞ」

　バックミラーで事の事体を把握した私は、シフトレバーを２に合
わせアクセルをべた踏みした。するとタイヤの回転数は俄に上がり、
タクシーのスピードを越えて回り始めた。バックミラーを覗くとタ
クシーと怒鳴り散らしている運転手が徐々に遠ざかって行った。

志「ふ〜危なかった。来て早々災難でしたね。わっはっは」
聡「まったくだよ！なんてー事してくれるんだよ。優香ちゃん（仮
　名）大丈夫だった？」
優「…大丈夫です」
聡「そもそもさー！なんで１で発進したのか教えてくれよ！」
志「え？普通は１から発進するんじゃないんですか？」
聡「違ぇーよ！普通はＤｒｉｖｅに合せて発進停車するんだよ！１
　とか２は、エンジンブレーキを利かせたい時とか、長い下り坂の
　時に利用するの！」
志「え！！じゃあもしかして今２で走ってるのも間違ってます？」
聡「はい。間違いです」
志「わお！」

取りあえず早々にリベンジを果たす事が出来、満足する私であった。

〜シドニー空港国内線発着場にて〜

優「それじゃあ。聡さん飛行機の中で仲良くしてくれてありがとう
　ございました。志帆さんここまで乗せて頂いてありがとうござい
　ました…」
聡「それじゃあね。アデレードでのこれからの生活頑張ってね」
優「はいありがとうございます。それじゃあ行きますんで…」
聡、志「じゃーね。またいつかどこか出会おうね〜。ばいばーい」

　簡単な挨拶を済ますと、彼女は両手いっぱいの荷物を抱えてトボ
リトボリとゲートの方に向った。

聡「あーあ、行ちゃった。彼女結構いい子だったんだよな〜。なん
　か後ろ姿が寂しそうだな〜」
志「そうっすね。（リベンジのせいかな？）」
聡「そうだ、あの子に日本の住所聞いてあったんだ。落ち着いたら
　手紙出してみよっと。返事が来たらうれしいな。もう一度会えた
　ら最高だな」
志「そうっすね。（あまり聞いていない）まあ取りあえず、我が家
　に向かうとしましょうか！」
聡「よし！今日から約３ヶ月間のオーストラリア生活の始まりだ！」

　ちなみに聡は、優香（仮名）と会う事はおろか、返事の手紙をも
らうことすらありませんでした。

この髭面の人物が聡です。文句あっか！以上