〜Annaに会いたい〜Ｐａｒｔ２

志「アンナ！」

　４ヶ月ぶりに見たAnnaだが全然変わらない。いやむしろ可愛くな
っているように見えた。

志「アンナ、僕の事を覚えているかい？」
ア「ええ、覚えてるわよ。志帆でしょう」

　私とAnnaはあくまで生徒と先生の関係でしかなかった。それゆえ
忘れられている可能性もあったので、自分の名前を覚えていてくれ
た事に感動してしまった。

志「こんな時間まで何やってたの？」
ア「生徒の勉強用の資料を作ってたのよ」
志「学校の方はどう？」
ア「前とあまり変わらないわ」

　しかし英語下手と口下手なのが災いして、会話が全然弾まない。
ひとつ話しをする度に、変な間が生まれてしまう。

志「ねぇアンナ。今カメラを持ってるんだけど、一緒に写真を写し
　てもいいかい？」
ア「ええ。いいわよ」

Ｐａｓｈａ！

学校内の出口前で、Annaをカメラに収めたが、その間もたいした会
話も出来ず、気まずい空気だけが流れていく。学校を出て２人で帰
る方向に足を向けた。

志「アンナは今までずっと学校にいたの？」
ア「いいえ、この間までオーストラリアをバスで旅行してたのよ」
志「え！そうなんだ。俺は明日から自分の車でオーストラリア一周
　するんだよ」
ア「どれくらいの期間、旅をするの？」
志「３ヶ月くらいを予定しているよ」
ア「そうなんだ。実は私ね８月いっぱいでイギリスに帰らないとい
　けないのよ」
志「そうか。アンナもワーキングホリディビザで来てたからね。」
ア「イギリスに帰る前に日本に遊びに行ってみるつもりよ。名古屋
　に友達がいるから訪ねてみるつもり」

　Annaと他愛も無い話しをして、とぼとぼと足を運んでいたが話し
は直ぐに尽きてしまった。そして２人が別れる交差点にやってきた。

ア「じゃあ私の帰る方向はこっちだから、それじゃあまたね」
志「ちょっと待ってアンナ。今日撮った写真を送るからイギリスで
　の住所を教えてくれないかい？」
ア「私は志帆の住所を知ってるわ。以前ＢＢＱパーティーをやった
　時に教えてくれたでしょう。ＢＢＱの時の写真と手紙を一緒に送
　るからそれで良いかしら？」
志「そうだね。アンナは俺の住所知ってたんだね。それじゃ日本で
　手紙を待ってるよ。それじゃあアンナ。またいつの日か」
ア「ええ。さようなら」

　２人は別れの握手をして、それぞれの家に帰っていった。

−自宅マンションにて−

志「たっだいま〜。る〜んたった〜るんたった〜♪」
聡「おーおかえりー。車の水温計はどうだった？」
志「水温計なんてどうでもいいもんね〜。アンナに会っちゃった〜
　　うひひひひ〜。わ〜いわ〜い♪」
聡「そんなさ。会いたいと思って都合良く会えるわけないだろう。
　つまらない嘘はいいから水温計の調子を教えてくれよ」
志「水温計なんてどうでもいいもんね〜。アンナに会っちゃった〜
　うひひひひ〜。わ〜いわ〜い♪」
聡「何？本当に会えたのか！良かったじゃん。ちゃんと住所を聞い
　て写真を撮ってきたか？」
志「住所は聞けなかったけど、写真は撮ってきましたよ〜このカメ
　ラの中にアンナが収まっていますよ。現像したら見せて上げます
　よ。マイスウィ〜トアンナを。うひひひひー」

聡「…。アンナの事は置いておいてさ、明日から出発できそうだね。
　もうここには帰ってこないから、いろいろ荷物をまとめておいた
　方がいいんじゃない？」
志「（部屋を軽やかにスキップしながら）アンナ！アンナ！」
聡「おいおい！人の話しを聞いてるか？」
志「（手拍子しながら）アンナ！アンナ！アンナ！アンナ！」
聡「むか〜っ！！おまえの笑顔って本当にむかつくな！！！」

しかし１９９９年０９月１２日現在アンナからの連絡はない。