〜ギャンブルナイトその１〜
今日は詩織と友希の希望で、競馬場へと足を運ぶことになった。
しかし２人が泊っているホテルへ迎えに行き、競馬場へ車を走らせ
ると、そこには”本日お休み”の文字が…。
オーストラリアの競馬は日本でのやり方と大差はない。オースト
ラリアの馬券にも馬番とか枠とか、なんやかんや（私は競馬を付合
い程度にしかやらないのでよく分らない）があり、それらの馬券は
競馬場か”ＴＡＢ”と呼ばれる場外馬券売り場で買うことができる。
日本と同じくマークシートによる投票だ。
しかし私がシドニーの競馬場に行った時にひとつだけ「オヨヨ」と
思う事があった。客のほとんどは競馬新聞片手に、普段着で大声を
張り上げたりしているのだが、パドック横に設けられた一角には
”わて金持ってまっせ！”という匂いを発散している人達がいたの
だ。
彼らは蝶ネクタイと黒のタキシードに身を包み、品の良い感じの貴
婦人を連れていた。イギリスで行われる競馬は貴族の遊びだと聞い
た事があるが、オーストラリアの競馬もその流れを汲んでいるよう
だ。
そして彼らは、私がタクシー待ちの行列に並んでる横で、運転手付
きのベンツに乗り込み、葉巻をくわえ（これがすごい似合う）悠々
と帰っていった。それは空高く秋晴れが綺麗な日の出来事だった。
−閑話休談−
一気に暇になってしまった私たちは、誰が言い出したのか、同じ
ギャンブルということでカジノに向かうことにした。
オーストラリアはカジノが法的に認められた国であり、２０歳以
上であれば入場可能です。きちんとした服装で入場するように、ガ
イトブック等に書いてあるのですが、よっぽど酷くない限り入場で
きます。
また、日本人は若く見られるので年齢が証明できる物が必要と聞い
ていたのですが、８０歳近いホモっぽいオージーに「おまえは１６
歳か？」と言われた私でも、年齢証明を見せるように言われた事は
ありません。ちなみにそのオージーには「おまえはインドネシア人
か？」とも言われました。
カジノにはバカラやキノ、日本でもお馴染みのブラックジャック
やルーレット等、いろいろなゲームがあります。どのゲームも金さ
えあれば参加可能ですが、ギャンブル経験の無い人にはスロットマ
シンがお薦めです。
ルールはすごく簡単。同じ絵柄が三つ揃えば勝ちで、絵柄の種類に
よって配当金額が変わってきます。また１回１セント（１円以下）
から遊ぶことが可能なので、暇つぶしには持ってこいです。
ただ１セントマシーンで大儲けしようと思ったら至難の技です。１
セントが１００倍になったところでそれは１ドルにすぎません。も
しも稼ぎたいと思うなら賭ける金額を増やすか、別のゲームに挑戦
しましょう。
私たちは初心者ということで、数枚の１ドルコインを握り締めて
スロットマシーンに挑戦したが、儲ける事はできなかった。まぁ日
本では出来ないギャンブルが出来たので、彼女たちの小さな思い出
にはなっただろう。
カジノを後にした私たちは、イタリアンパスタの店で夕食を採り、
何かを食べて何かの話しをした。そこでお互いの日本での住所を交
換して、私と聡は彼女たちに別れを告げた。彼女たちは明日の飛行
機で日本へと旅立ってしまう。
旅先での出会いと別れは、想像していたよりもあっさりと無感動
に過ぎ去っていった。しかし私たちの旅はまだ始ったばかりだ。こ
の調子で行けば、出会いはそこら中に転がっているだろう。更なる
女の子との出会いのために出発しなくてはいけない。
明日は漏れっぱなしのエンジンオイルを修理しに行こう。
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