〜語ることさえタブーなのか〜

　アデレードに到着した。アデレードといえば1995年までF1が開催
されていた場所ということで有名か？僕は知らなかったけど、たぶ
んF1フリークの人には有名。僕はいまもアデレードで開かれている
と思っていた。さっき調べたら、いまはメルボルンでやってるんだ
ってさ。

あとアデレードが属する南オーストラリア州はワインの産地として
も有名。アデレードから車で１時間ほど行った場所にあるバロッサ・
バレーでは、奇数年毎にワイン祭りが行われており「私の血はワイ
ンでできている」と豪語する人たちが集まり、盛り上がりを見せて
いる。



　アデレードのYHAに泊まっていた時のこと。その晩もいつものよ
うにスーパーで買出しをしてホテルに戻ってきたところ、ふたりの
白人男性（英語は話していたが何人かは不明）がいた。その時僕は
タバコを咥えていたのだが、それを見た白人男性が僕に話しかけて
きた。

「１本もらえないかい？」

　僕は巻きタバコしか持っていないと伝えると、WHITEは自分の胸
ポケットからマルボロを取り出して火をつけた。なんじゃそりゃ。

「なんだよ。お前持ってるんじゃん」

　そう言うと、もうひとりのWHITEが笑いながら話し掛けてきた。

「コイツはケチなヤツなんだよ。悪いね。俺はタバコ持ってないん
だけど、もらえるかな？」

　僕は仕方なくリーフとフィルター、ペーパーを彼に渡した。彼は
立ったまま器用に葉っぱを巻くと、フィルターなしのタバコを口に
咥え火をつけた。そして紫煙を煬らせながら３人で雑談をした。ど
こから来たのか。いつまでいるのか。どこに行くのか。宿題はやっ
たか。歯はちゃんと磨け、など…。

　吸殻を地面に叩きつけ踏みつけると、白人のひとりが言った。

「そろそろ行くか」

　するともうひとりがうなづいて、僕に向かって言った。

「じゃあ、俺たちは行くから」

　彼らはこの宿の宿泊者ではなかったのだろうか？不思議に思いな
がらも、僕は手を振った。そしてふたりは歩き出したが、ひとりが
すぐに立ち止まって振り返りこう言った。

「これからマリファナを買いに行くんだけど、今晩宿で一緒にやる
かい？」

僕は躊躇しながらもこう言った。

「YES」

　ドラッグの位置づけは国によって大きく異なる。日本の場合は、
法律で禁止されている上に、世間もそれの使用を認めていない。し
かし他の国、例えばオランダでは健康を著しく害さないソフトドラ
ッグの使用は認められている。

そしてオーストラリアの場合は、法律では禁止されているものの、
世間的には多少寛容なところがある。と僕は思っている。僕のニュ
アンスでは、日本において未成年が喫煙しているような感じ。法律
的にも世間的にも悪いことではあるけど、みんなやってるじゃん。
という位置づけ。

人生は経験。しなくて良い経験もあるけど、僕の場合、ドラッグは
オーケー。日本でやる気はないけど、海外ならオーケー。というの
が僕のスタンスなので、彼らの申し出に「YES」と答えた。

しかし彼らが宿に戻ってくることはなかった。捕まった？

〜引用〜
　オ−ストラリアの中でもシドニーのあるニューサウスウェールズ
（NSW）州が最も深刻な状況で、同州保健省がハイスクール（日本の
中学・高校に相当する）の生徒を対象に行った調査（1996年）では、
12歳で既に男子の15%、女子の8%がマリファナの使用経験があり（17
歳では男女それぞれ61%および51%）、12歳男子の3%はヘロイン、コ
カインまたはアンフェタミンを使用した経験があるとのことである。

アデレードに向かう途中、道をちょっと入ったところでこんなイン
フォメーションを見つけました。ザックリ訳すと
「危ないよ。すんげー崖があって超危険。風が強い時なんかそりゃ
すごいんだから。ガキんちょは大人がちゃんと見てなきゃダメ！」
という感じです。そしてこの先にあるのは、

こういう景色があります。こんなのが100キロ以上も続いているの
で、当然フェンスなんかありません。ここにダイブした日にゃ、間
違いなく死が待っており、遺体が発見されることはないでしょう。
ただすんごいきれいな場所よ。運が良いとクジラを見ることもでき
ます。この海の先に南極大陸があると思うと感慨もひとしお。

アデレードで撮影した自転車に乗る少年。なんか普通の道じゃなさ
そうですね。いったいココはどこでしょう。

ここはF1が開催されたアデレードのレース場。ここは恐らくスター
ティンググリッドだと思うのですが、今は亡きセナへのメッセージ
が随所に書かれています。

そしてコースの外れの草むらの中には、セナの手形があります。写
真で見る限り、彼は34歳で生涯を終えたのですね。なお実物大かは
分かりませんが、彼の手は僕の小さな手とほぼ同じだった。