〜それぞれの道〜

　コーラルベイでアンドレアに別れを告げ、再び僕と聡の旅が始ま
った。今日の目的地はノースハンプトンという田舎町。この街は、
コーラルベイの南に位置するため、車を走らせると少しずつ気温が
下がっていく。南半球は北に行くほど暖かく、９月は冬にあたる。

　そして明日は日本人にも有名なパースが目的地になるのだが、今
回のラウンドの分岐点になる。パースから先、僕たちはどのように
行動するか決めないといけないのだ。今日は１９９８年９月１７日
（すでに５年以上前か〜）だが、聡の帰国日は飛行機のチケットの
関係でシドニー発１０月１日と決まっている。

今までのペースでラウンドを続けていては、シドニーに到着できな
いのは歴然。１０月１日に帰ると言うことは、前日の９月３０日に
はシドニーに到着していないといけない。するとラウンドに充てら
れる日数は１０日ちょい。

パースからシドニーまで、車をすっ飛ばせば１０日で到着すること
は可能だ。しかしその場合、日中、車を走らせて夜になると宿を探
して泊まり、翌朝また車を走らせるだけの毎日。途中の街での観光
は一切できなくなる。僕たちは非日常だったはずのラウンドに、飽
き飽きしていた。

　パースからシドニーに向かう方法は他にもある。インディアン・
パシフィック鉄道（通称インパシ）を使う手段だ。所要日数は４日
間。この鉄道に車も積んでしまい、オーストラリア大陸の東西を突
っ走る。これは結構、現実的な作戦だが、今まで苦労して車で旅を
していたのが無意味になる気がして、僕は嫌だった。

　そしてもうひとつの現実的な選択。それはパースで聡と別れるこ
と。パースで何日間かゆっくりして１０月が近づいてきたら、聡は
国内便でシドニーへフライト。そして僕は車でラウンドを続ける。

「なぁ志帆よ〜。今後どうするか、もう決めた？へーちょ」

　ノースハンプトンで宿を見つけたとき、聡が尋ねてきた。聡は猛
暑だった場所から、急に寒いところに移動したために、風邪を引き
かけていた。パースに行くとさらに寒くなる。彼が本格的に風邪を
ひかなければ良いのだが。

「ん〜。考え中！明日、パースに到着するまでに答えを出しますよ」
「日数的な余裕はあまりないからな〜。頼んだよ。へーちょ」

アンドレアと別れた後にコーラルベイのビーチに行きました。いん
や〜。真っ青な海と空。白い砂浜が印象的。オーストラリアできれ
いなビーチを見たかったら、グレートバリアリーフよりも西海岸の
ほうがオススメだね。