〜パース到着〜

　パースに近づくにつれビル群が目立ち始めた。パースは西オース
トラリア州の州都であり最大の都市。考えてみるとゴールドコース
トを出てから、いわゆる高層ビルというのを見ていない。やはりオ
ーストラリアの国土の大部分は砂漠が支配している。

　今晩は宿泊場所にＲＢＰ（ライダーズバックパッカー）という、
日本人ライダーばかりが泊まっているバックパッカーを確保した。
ここは本当に日本人しかいない。なんでだろうね。オーストラリア
人から見て日本人は扱いにくいとかで、日本人専用の建物を作って
隔離したのだろうか。

そのためか、今まで泊まっていた日本人が置いていった稲中卓球部
や小説などが多数あった。宿内を掃除する人は、宿泊している日本
人から選出されており、その人が働いてくれる。しかも料理も宿泊
者から毎回１ドル徴収し、世話好きな日本人が作ってくれる。

そのため、ここにいると英語をまったく使わなくても生活できてし
まう。英語に疲れた脳みそには心底落ち着くが、徹底的に堕落して
しまいそうな場所だ。まぁそれもいっか！

　夜になるとこの日はパーティとのことで、無料でＢＢＱが振舞わ
れた。そして肉にむしゃぶりつきながら、これからのことを聡に伝
えた。ふたりでの旅を続けるかここで別れるか、それとも列車での
旅に切り替えるか。

「パースから先の旅、どうするか決めましたよ」
「うっせーな。今肉食べてんだろう！」
「やっぱ、僕は車での旅を続けようと思います。恐らくこういうこ
とができるのって、今だけだと思うんですよ。もう一度ラウンドす
るか！って訳にはいかないと思うんですよ」

「ほら、志帆も早く肉食えよ肉。オージービーフやで〜」
「聡と離れて旅を続けることには、精神的にも金銭的にも不安があ
るけど、ここで悔いを残したくないんです。車でオーストラリアを
一周するという目標を達成したいんです！」
「なんだよもう！羊の肉しか残ってないじゃないか。今まで貧しい
食生活を送ってたから、こういうチャンスを活かさないとな」

「というわけで、数日間パースに滞在した後、聡は飛行機でシドニ
ーへ。僕は車でシドニーを目指します」
「お！志帆、ビーフが手付かずじゃないか。いただきま〜す」
「何すんだこの野郎！殺すぞ！！！」

　というわけで聡に伝わったかは分からないが、数日間パースに滞
在することになった。

パースのビル群。右に見えているのはスワン川。僕は見てないけど、
ここには黒い白鳥ブラックスワンがいるらしい。パースは夏場でも
涼しく、自然と都会が共存した良い場所です。住みたいね〜。