僕たちは京都を実感できるもうひとつの場所であるうどん屋を探
しに街を散策した。京都駅から北に伸びる烏丸（からすま）通りを
歩く。GAPやカラオケ屋があるビルを通り過ぎ、東西に走る七条通
りを左折する。この通りは近代的なビルから一転して、2階建ての
多少古い建物が軒を連ねる。そして150メートルほど歩いたところ
で、通りの右手にうどん屋「ちから」を発見。
白い布に筆で屋号を書いたのれんをくぐり席につくと、僕はきつ
ねうどん、モリモリはたぬきうどんを頼んだ。関東地方できつねう
どんを注文すると、狐が大好きな三角形の甘い油揚げがうどんの上
に乗って出てくる。たぬきうどんの場合はテンカスだ。これは客が
天ぷらだと思って食べたらテンカスだけだった。「狸にだまされ
た！」という意味がある。大阪？関西？の場合はこれが逆だと聞い
た。きつねうどんを頼むとテンカスが出てきて、たぬきうどんを頼
むと油揚げが出てくると。狸が油揚げ好きなんて聞いたことないん
だけどな〜。単なる噂なんかな〜。
しばらくするとふたりの前にうどんが運ばれてきた。僕の前に置
かれたきつねうどんを見ると、具は油揚げだった。「あれ？東京と
一緒じゃん」なんて思いながら、モリモリのたぬきうどんに目をや
ると、そちらの具も油揚げだった。ただしモリモリの方はあんかけ
になっていた。油揚げの上にトロっとしたあんがかかってているの
だ。「なんじゃこりゃ？」なんて思いつつ、関西風味の汁をゴクリ。
店の人に尋ねることもなく「まぁこういうもんなんだろうと」納得
してうどんを頂いた。
よく「関西人は東京の真っ黒い汁のうどんが気持ち悪くて食べら
れない」と言う話を聞く。だけど僕は関西のうどんをおいしく頂け
ました。ただ具の油揚げに味がついていなかったのが辛かった。関
西のきつねうどんはそういうものなのかね？京都のきつねうどんは
そういうものなのかね？それともこの店だけこうなのかね？
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